家の新築や外壁リフォームをする際に、必ず選ぶことになる外壁材の種類。とくに新築の場合、内装や間取りに注力するあまり、外壁選びが後回しになりがちです。
いざ外壁を決めようと思っても、たくさんの種類やデザインがあると、どれを選ぶべきか迷ってしまいますよね。そこで本記事では、外壁材の種類や選び方について徹底解説。それぞれの外壁材のメリット、デメリットを押さえたうえで、シーンに合わせたおすすめの外壁材もご紹介します。
まずは外壁材の種類と、それぞれのメリット・デメリットの一覧表をご覧ください。
外壁材の種類 | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|
サイディング | 窯業系 | コスト、機能、デザインのトータルバランスに優れている | 色あせや塗料の剥がれ、ひび割れなどの劣化症状が起こる |
金属系 | 耐久性と軽さが強み | カビや藻の発生 寒冷地に弱い |
|
樹脂系 | 塗料がはげる心配がない シーリング材の補修も不要 |
コストが高い | |
木質系 | 木の温もりを感じられる 断熱性が高い |
防水性が低い | |
モルタル | 防火性が高く外壁が自然な仕上がりになる ※リシン、スタッコ、吹付けタイルなど工法で仕上がりが異なる |
ひび割れから腐食や雨漏りにつながりやすい | |
ALCボード | 耐火性や断熱性、遮音性に優れている | 水や湿気に弱い | |
タイル | 傷や摩擦に強い 紫外線による色あせも起きにくい |
コストが高い |
外壁材の種類は大きく「サイディング」「モルタル」「ALCボード」「タイル」の4種類に分かれます。
サイディングとは、建物の壁に張り付ける「壁材」を指します。できあがった壁材を張るだけなので簡単に外壁をつくれるうえ、品質も安定しているのが特徴です。サイディングには次の4種類があります。
セメントと繊維などを高温・高圧で成形したサイディングです。日本国内における住宅の約70%に使われており、「コスト」「機能」「デザイン」のトータルバランスに優れています。高いシェアがあるため生産量も多く、色や柄のレパートリーも豊富です。
メンテナンス周期は7〜8年程度。価格相場は1平方メートルあたり3,000円程度です。劣化症状としては、色あせや塗料の剥がれ、ひび割れ、チョーキング(直接触ると粉のようなものが付く)などが起こります。
金属系サイディングは、文字どおり金属板を成形したサイディングです。アルミニウム合金、溶融亜鉛メッキ鋼板、ステンレス鋼板といった素材が使用されます。最大の特徴は「軽さ」です。
窯業系サイディングの4分の1程度、モルタル外壁の10分の1程度なので建物への負担が少なく、耐震性にも優れています。そもそも素材が軽いため重ね張りに適しており、外装リフォームにもよく用いられています。
メンテナンス周期は10〜15年程度。価格相場は1平方メートルあたり4,000円程度です。劣化症状としては、表面のひび割れやチョーキング、カビ・藻の発生などがあげられます。また、金属は吸水性がないため寒冷地による凍害に弱いのも難点です。
樹脂サイディングは、塩化ビニル樹脂(プラスチックの一種)を加工したサイディングです。重量が窯業系サイディングの10分の1程度と軽く、耐久性が高いのが特徴。メンテナンスの手間もかからないうえ、最初から外壁材に色が練り込まれているため、塗料がはげる心配がありません。シーリング材も使わないためシーリングの補修も不要です。
メンテナンス周期は10〜20年程度。ただし、価格相場が1平方メートルあたり9,000円程度とコストが高いのが難点です。
木質系サイディングは、天然木を用いたサイディングです。木材ならではの温もりを感じられたり、断熱性に優れていたりするのがメリット。ただし、素材が「木」なので、他のサイディングと比べて防水性が低いのが難点です。経年劣化によって防水性能が低くなると、雨水による腐食が起こりやすくなります。
また、消防法の制限によって木質系サイディングを使用できないエリアもあるので注意が必要です。価格相場は1平方メートルあたり6,000円程度。メンテナンス周期はおよそ10年です。チョーキングや塗料のはがれ、色あせなどの劣化症状も起こります。
モルタルとは、砂とセメントと水を混ぜた外壁材です。防火性が高いうえ、サイディングとは違って継ぎ目がないので、外壁が自然な仕上がりになります。デザインの自由度も高く、手塗りによって多彩な表情を演出可能です。
ただし、工場生産のサイディングとは違って、モルタルは職人による手作業が基本。職人の実力や現場管理によってクオリティが左右されるので、依頼先を慎重に選ぶことが重要です。モルタルの塗り方は防火性や耐久性にも影響を与えます。メンテナンス頻度も低く、適切なメンテナンスを行えば30年以上も品質をキープ可能です。
ただし、ひび割れには要注意。ひびから雨水が侵入して腐食や雨漏りを起こす可能性があります。チョーキングやはがれにも注意しましょう。価格相場は1平方メートルあたり4,500円程度です。
モルタルの工法には「リシン仕上げ」「スタッコ仕上げ」「吹付けタイル」の3種類があります。それぞれの特徴は次のとおりです。
自然石のような「つぶつぶした粗い表面」が特徴のモルタル工法です。耐久性は高くありませんが、比較的短期間で仕上がるうえ、コストが安いのがメリットといえます。
セメントや砂に加えて大理石なども混ぜ合わせ、コテやローラーを使って施工するモルタルの工法です。リシン仕上げよりも厚めに塗るため、住宅に高級感や存在感が出ます。耐久性は高いものの、表面がざらざらしているため汚れが付きやすいのが難点です。
軽量骨材(コンクリート骨材のうち比重や密度が軽い骨材)と樹脂を混ぜ合わせ、タイルガン(専用工具)で吹き付ける工法です。自由度が高く、塗り方によって外壁の表情が豊かになります。ただし、樹脂によって耐用年数が変わるので注意が必要です。
ALCボードとは、別名「軽量気泡コンクリート」とも呼ばれる板状の外壁材です。コンクリートの4分の1程度の重量なので扱いやすく、耐火性や断熱性、遮音性に優れています。一方で、防水性が低いのが難点。水や湿気に弱いため定期的なメンテナンスが必要です。
理想のメンテナンス頻度は10〜15年で、価格相場は1平方メートルあたり7,500円程度。シーリングの切れや表面のひび割れ、チョーキング、色あせなどの劣化症状にも注意が必要です。
タイルは、粘土が原料で、石や土を高温で焼き固めて成形された外壁材です。非常に硬いため傷や摩擦に強いのがメリット。紫外線にも強いため変色や色あせもほとんど起こりません。ただし、雨水が溜まりやすいのが難点です。
メンテナンス周期は20年程度ですが、外壁の下地まで湿気が溜まるため、メンテナンスを怠ると劣化が早まってしまいます。また、価格が高いのもデメリット。価格相場は1平方メートルあたり13,000円程度です。
ここまで外壁材の種類とそれぞれの特徴をお伝えしましたが、何を基準にどのような外壁材を選ぶべきかお悩みの方もいらっしゃるかと思います。参考のために、外壁材の選び方とおすすめのシーンをご紹介します。
数ある外壁材の中から自身に合った素材を選ぶためにも、「優先順位」を明確にしましょう。たとえば次のとおりです。
豊富な中からイメージに合った色や柄を選びたい場合は「窯業系サイディング」を選ぶ、メンテナンス頻度の少なさを重視するなら「モルタル」や「タイル」を選ぶなど、何を優先とするかで選ぶべき外壁材が変わります。自身に合った外壁材を見つけるためにも、まずは優先順位を明確にしましょう。
外壁にこだわりがなく、「ある程度安くてメンテナンスも面倒でなければ、デザインは何でも良い」と考える人は、窯業系サイディングがおすすめです。冒頭でお伝えしたように、窯業系サイディングは国内で70%程度のシェアを誇っており、コストやデザイン、機能などトータルバランスに優れています。
「とにかく耐久性が高いものが良い」と考える人は、金属系サイディングが適切といえるでしょう。なかでも防食性や防水性に優れている「ガルバリウム鋼板」がおすすめです。耐久性が高いうえ軽量なので、建物にも負担がかかりません。窯業系サイディングと比べてメンテナンス頻度も少ないため効率的です。
外壁は建物の印象に大きな影響を与えます。風景になじみやすく、自然のぬくもりを感じるデザインにしたいと考える人は、「木質系サイディング」がおすすめです。木材を使うため、建物を他の外壁材では再現できない表情に仕上げられます。防水性に弱い反面、経年による木材の色合いの変化を楽しめるサイディングでもあります。
デザインの自由度を重視するなら、モルタルがおすすめです。職人の手作業で塗るため、他の外壁材とは違って変幻自在に扱えます。和風洋風など系統ごとに表情を変化させることも可能です。
ひと口に「外壁材」といっても、サイディングやモルタル、ALCボードなど種類はさまざまです。サイディングの中でも「窯業系サイディング」や「木質系サイディング」など細かく分類できます。外壁材によって特徴は異なるうえ、コスト感やメンテナンス頻度も多様です。
自身に合った外壁材を見つけるためにも、「何を優先とするか」を明確にしておきましょう。耐久性や断熱性、気密性の高い外壁にリフォームしたい場合は「レンガ積み」の外壁もおすすめです。
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