家をアンティークな雰囲気にしたいと考えているものの、「何をもってアンティークなのか」「どの部分を変えるべきか」と悩んでいる方もいらっしゃるかと思います。そこで本記事では、アンティークな家づくりで大切なポイントを解説。アンティークな家の定義やアンティークらしさを決める要素、実際の事例など詳しくお伝えします。
アンティーク(Antique)はフランス語で、直訳すると「古美術」「骨董品」を意味します。住宅だけでなく雑貨や衣類、道具類など広い分野で使われる言葉です。
住宅分野においては、フランスをはじめ古くからヨーロッパで使われてきたデザインを指します。したがって、日本でいわれる「アンティークな家」は「ヨーロッパ風の古民家」と表現できます。
アンティークな家をつくるには、どのようにデザインすると良いのでしょうか。まずは、外観のポイントを解説します。
職人の「手塗り」による外壁は、アンティークらしさを出すための重要なポイントです。なかでも漆喰(しっくい)を塗り込んだ壁は、フランスの片田舎を彷彿とさせます。白い漆喰壁は外観をつくる他の部材とも相性が良く、幅広いデザインに対応できます。
ヨーロッパではレンガ造りの家もよく見られます。レンガ造りの家は石造りの家が進化したものであり、イギリスやオランダを中心に広まったといわれています。ベーシックな赤レンガはもちろん、ナチュラルな雰囲気の白レンガ、味のあるヴィンテージレンガもおしゃれです。
化粧屋根とは塗装された屋根のことです。フランスの片田舎では、その土地で親しまれた素材で屋根を塗装します。地域によって素材や色はさまざま。アンティークな雰囲気を出すなら、白や茶色などナチュラルな色がおすすめです。
ヨーロッパの住宅では「丸い窓」もよく使われます。窓も含めて「丸みを帯びたもの」を設置すると、アンティークらしさが増し、異国情緒にあふれた内外観に。オシャレさや可愛らしさもいっそう増すでしょう。
玄関のアンティークらしさを出すためには、ドアだけでなく小窓も重要なポイント。たとえば、窓枠に自然素材の木材を使うといった方法です。玄関のトーンと合わせた色味にしたり、あえて違う色味にして小窓の存在感を出したりといった工夫ができます。
目地なしタイルとは、タイル同士のあいだに目地材を詰めない仕上げ方をいいます。外壁や玄関までのアプローチに使うのがおすすめです。目地がないことでモダンさが抜け、ヨーロッパの石畳を彷彿とさせるような外観をつくれます。ツヤのない経年加工されたタイルを使うと、よりアンティークさが生まれるでしょう。
アンティークな家づくりの外観をお伝えしました。続いて、「内装」のポイントをご紹介します。
アンティークな雰囲気を演出するには、内装においても「古き良き美しさ」への意識が大切です。そのため内装や家具では、木や革といった自然素材をおすすめします。
自然素材を使うことで「ぬくもり」や「やわらかさ」を表現できます。また、木や革は経年劣化を楽しめる素材でもあり、使い込むことで深い味わいが出てきます。自然素材を使えば、新築でもアンティークらしさのある家に仕上がるでしょう。
家具や装飾をする際、それらの形状も意識してみてください。ヨーロッパでは「曲線や丸み」を帯びた家具や窓が多く見られます。現代では、線がはっきりし、シャープなものが多いです。そこであえて丸みを帯びた輪郭を意識することで、アンティークさを際立たせられます。
塗装や色合いも、内装にアンティークらしさを出すために重要です。塗装では、ムラのない機械的な塗り方よりも「手塗り」がおすすめ。あえてムラをつくることで、経年による塗装の色あせや剥げにも味が出てきます。色合いについては、ベースは白や茶色、黒といった落ち着いた色がおすすめです。
アンティークな内装をつくるうえでは「照明」の存在も重要です。現代ではLEDが多く使われていますが、光量が多いとモダンな雰囲気になってしまいます。アンティークらしさを出すには、やわらかい暖色系のライトを使ったり、間接照明によって自然な明るさで家具や装飾を彩ったりといった工夫をしてみてください。
アンティークらしさのイメージを掴むためにも、実際の事例をご紹介します。
引用:せらら工房
横浜市にあるレンガ住宅の事例です。線路の近くに佇んでいるこの住宅は、外壁の一面に「レンガ」を使用。オーストラリアのタスマニア地方で焼いた「オータムブレンド」と呼ばれるレンガを使用し、安定感のある落ち着いた外観を演出しています。
レンガの焼きムラによってアンティークらしさが表現され、自然でシックな風合いに。玄関までのアプローチや門柱なども石貼りを施しており、外観全体がイギリス風のアンティークな住宅に仕上がっています。内装は利便性の高いシンプルモダンな住宅を意識。梁や床、階段などにはライトブラウンを使うことで落ち着いた雰囲気を演出しています。
引用:せらら工房
神奈川県は藤沢市に佇むアンティーク住宅の事例です。ヴィンテージレンガを使った外観が特徴で、レンガそのものの素材を活かした存在感のある住宅に仕上がっています。玄関までのアプローチには数段の階段を設置し、黒いアイアン(鉄)の手すりを設置。ダークな赤レンガと黒いアイアンの色合いがぴったりとマッチしています。
内装はアンティークとシンプルモダンの調和を意識。思い出の詰まったアンティーク家具はそのままに、壁の一部は目地なしタイルを使用。白や茶色を基調とした素材を多く使うことで、アンティークながらも高級でモダンな雰囲気を演出しています。
東京都世田谷区に構えるアンティーク住宅です。内装の壁には「漆喰の手塗り」を採用し、北フランスや北欧風な住宅を再現。アンティーク雑貨との相性もぴったりです。
リビングダイニングでは、床やドア、テーブル、イスを茶色で統一。白い壁とマッチし、落ち着いた空間に仕上がっています。他にも吹き抜けからハシゴで登れるロフトを設置したり、天窓から洗面所やトイレに光が入るような設計だったりと、快適に暮らせる工夫がされています。
愛知県は小牧市に佇むアンティーク住宅です。外観は茶色い三角屋根で、壁は一面を白で揃えています。
内装や家具には漆喰や木材、革など自然素材を多く使うことで、温かみのある、ゆったりと落ち着いた空間に。立体感が出るように漆喰が塗られていたり、梁にエイジング加工(使い込んできたかのように加工する工法)を施したりと、随所に工夫が見られます。静かで落ち着いた暮らしを実現できるアンティーク住宅の事例です。
引用:四季彩建設
茨城県は美浦村にあるアンティーク住宅の事例です。一面が白で塗られた三角屋根の住宅で、玄関までのアプローチではコンクリートにレンガを埋め込み、ヨーロッパの石畳を再現しています。
リビングの窓はフルオープンできる仕様で、窓の上部には出し入れ可能なオーニング(日よけや雨よけとして使う屋根)を設置。リビングからそのまま石張りのテラスに入れるうえ、晴れの日にはテラスでティータイムを楽しめます。他にも天然木を使ったダイニングテーブルやイスをはじめ、照明、棚、食器類もアンティークなものに統一されています。
引用:株式会社 工房
東京都北区に構えるアンティーク住宅の事例です。3階建ての住宅で、広々としたリビングには乱尺のオーク材を使用。リンシードオイルによる自然塗装を施しています。
壁や天井にはルナファーザー(ドイツの再生壁紙)を使用。ピンクや紫、黄色、赤など部屋ごとにコンセプトカラーを分け、どこの部屋に行っても違う楽しみが得られる工夫がされています。
吹き抜けを登る「らせん階段」も上品な雰囲気を演出。手すりを細くしたり、黒をベースに少しだけ黄色を混ぜた塗装を細くしたりと、アンティークらしさを出すための細かい工夫がされています。らせん階段もひとつの「アンティークなインテリア」として存在感を示しています。
「アンティーク」に明確な定義はありませんが、住宅分野においては「ヨーロッパ風の古民家」と表現できます。アンティークらしさが決まる要素は多く、外観では手塗りやレンガの壁・化粧屋根・目地なしタイルなど、内装では自然素材や照明などがポイントです。お伝えしたポイントや事例を参考に、自身の好みに合ったアンティークな家をつくりましょう。
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