マイホームを建てるなら、性能が良い住宅を選びたいと考えている方が多いでしょう。しかし、近年では住宅の気密性や断熱性が上がる一方で、家が原因となる健康被害が増えていることをご存じでしょうか。長く健康に住める家をつくるには、「健康住宅」について知ることが重要といえます。
そこでこの記事では、健康住宅の定義やメリット・デメリット、家づくりのポイントなどを解説します。家の新築やリフォーム・リノベーション、建て替えを検討している方は参考にしてください。
健康住宅とは、化学物質や薬剤など有害なものを使わず、人々が健康に住めるように工夫された住宅のことです。化学物質や薬剤の例として次のものがあげられます。
これらはシックハウス症候群の原因物質とされ、健康住宅では上記物質の使用が極力避けられています。ほかにもハウスダスト対策、ダニ対策なども工夫のひとつです。
健康住宅は、ただ単に「有害かどうか」を判断するだけでなく、心の健康や経済的な健康など、「健康」についてさまざまな意味合いをもちます。
健康住宅の定義は「化学物質や薬剤を使わない住宅」とされていますが、健康住宅を建てるにあたっては、「健康」に関するほかの要素も理解することが大切です。とくに意識しておきたい3つの要素を解説します。
人体に有害な物質を使わないことはもちろん、「人が健康的な生活を送れるための工夫がされているかどうか」も重要なポイントです。たとえば次のような例があげられます。
建物の住みやすさは心の健康に直結し、空気循環や温度、空間の広さなど多くの要因によって決まります。健康住宅を設計する際は、実際に住んだときにストレスのない生活できるかイメージすることが大切です。
家そのものが健康であるかどうかも、健康住宅を検討するうえで重要なポイントです。たとえば次のような例があげられます。
素材選びやメンテナンスによって建物の劣化を最小限に抑えることで、長期間住み続けられる「健康な家」を実現できます。健康な家を維持していれば、大規模な補修をせずに済むうえ、ランニングコストも削減可能です。
人や家に加えて「環境」の健康にも気を配れると、なお良いでしょう。環境が健康である例として次のものがあげられます。
いわゆる「エコ」や「省エネ」を実現できる住宅のことです。環境に配慮した住宅はランニングコストも少ないうえ、結果的に長く住み続けられます。
健康住宅を建てることにはどのようなメリットがあるのか、代表的な4つをご紹介します。
最大のメリットといえるのが、ストレスのない生活を実現できることです。健康住宅では「人の健康」や「家の健康」を意識します。たとえば、年間を通して気温差の激しい地域などでは、「夏は涼しく、冬は暖かい」を実現。高気密や高断熱の素材や工法を取り入れることでストレスのない生活を送れます。
設計次第で、リビングだけでなくトイレや浴室、廊下でも一定の温度や湿度をキープ可能です。ほかにも、自然素材を使うため視覚的な刺激が少ない、防音性能が高いため音に対する細かな配慮も必要ない、などストレスフリーな生活を実現できる工夫がされています。
健康住宅では化学物質や薬剤などをほとんど使わず、天然素材を多く使います。空間全体にきれいな空気が行き渡るため、リラックス効果があります。
高断熱や調湿性の高いものまで、天然素材の種類もさまざまです。温度や湿度、空気循環などを保ってくれるほか、自然の温もりや木の香りを味わえるのも大きなメリットといえます。
健康住宅では、「家の健康」や「環境の健康」を意識することで、一般的な住宅と比べて長期間住めるようになります。たとえば、高気密・高断熱化によって冷暖房の効率が高まれば省エネ性の高い住宅に。CO2や光熱費のランニングコストを削減できるうえ、高気密・高断熱によって結露やカビも発生しにくくなります。
室内の環境が一定に保たれていれば、それだけ建物へのダメージも少なく済み、結果的に長く住むことが可能です。一般的には、家を建ててから数十年後に大規模な工事やメンテナンスが必要ですが、それらが不要になる可能性もあります。
人や家、環境など多くの側面に配慮された健康住宅は、不動産としての価値も高まりやすいです。仮に売却すると仮定して、長く住めるような設計や設備、細かなメンテナンスを施していることは、「買う側」にとって大きなメリットがあります。
昨今では人々の健康意識が高まっていることもあり、健康住宅の特性や仕様は大きな魅力です。住む人に健康をもたらすほか、健康に配慮をしていない住宅と比べて、より高い金額で売却できるでしょう。
健康住宅には多くのメリットがある反面デメリットもあります。とくに次の3つには注意しましょう。
健康住宅では、天然の木材をはじめとする高品質な素材を多く使います。高気密や高断熱に適した素材や工法を用いることも多いため、全体的に建築コストが高くなりがちです。
光熱費やメンテナンス費は抑えられるものの、一般的な住宅と比べて初期費用は高いといえます。初期費用を取るかランニングコストを取るか、どちらを優先するかは購入者の目的や予算次第です。
健康住宅の実現は、「理想を叶えてくれる建築会社を見極められるか」にかかっているといっても過言ではありません。建築会社の中には、「健康住宅」をアピールしているものの実は工事の品質が低い、といった場合も。せっかくコストをかけたのに実際は高気密・高断熱を実現できておらず、部屋間の温度差が大きいといったケースもゼロではありません。
前提として、自身の目的や予算に合った建築会社を選ぶことが大切です。それだけでなく建築会社が決まった後も、こちらの要望をしっかりと伝え、互いの意見をすり合わせることで、最終的に納得のいく住宅の完成につながるでしょう。
健康住宅では「家の中の環境」にフォーカスしがちですが、周囲の環境も重要なポイントです。たとえば、交通量の多いエリアだと、排気ガスによる健康被害や騒音によるストレスがかかる可能性があります。
せっかく家の中は快適なのに周囲の環境が悪いことで、結果的にストレスが溜まってしまうケースもゼロではありません。住宅のみならずその周辺にも目を配って、総合的に住みやすい土地かどうかを判断しましょう。
健康住宅における家づくりのポイントを4つご紹介します。
健康住宅の大きな特徴として、「高断熱」「高気密」があげられます。高断熱とは、室内外の熱の出入りを減らすことで外気温の影響を受けにくくする仕組みのこと。高気密とは、家にある「すきま」を小さくすることで熱の出入りを防ぎ、室内外の温度差を減らす仕組みをいいます。
断熱性や気密性が低い場合、急激な温度変化によって人体に悪影響を及ぼす可能性も。たとえば人体にヒートショック現象が起こることで心筋梗塞や脳卒中といったリスクが高まります。高断熱と高気密は、いずれも室内の気温や湿度を一定に保つために重要な仕組みであり、健康住宅を建てるうえで欠かせません。
最近の注文住宅では、「気密性」を意識したものが多く、健康住宅の観点からいえば十分といえます。しかし、「家のすきま」がほとんどないため、空気循環が悪くなりやすいのが難点です。室内に空気を循環させるためには、意識的・計画的に換気を行う「計画換気」が欠かせません。
たとえば、住居内で空気が一方通行になるよう窓やドアを開けて導線をつくる、などです。換気をしなければ結露やカビが発生しやすい、二酸化炭素濃度も濃くなるなど、人体にも悪影響を与えかねません。
健康住宅を建てる際は、化学物質や薬剤をできるだけ使わず、「自然素材」を取り入れるのがおすすめです。自然素材の代表例として「木材」が有名ですが、ほかにも無垢材や漆喰、レンガ、珪藻土、羊毛、土壁など多くの素材があります。
たとえば「無垢材」の場合、コストはかかるものの蓄熱性や調湿性が高く、水分を吸収・放出することで室内の環境を一定に保ってくれます。ほかにも「珪藻土」には消臭効果があるとされ、生活のにおいが気になる方は積極的に取り入れてみても良いでしょう。
室内を快適に過ごすためには自然光の存在が重要です。自然光が入ることで空間を広く感じたり、開放感が生まれたりします。ほかにも自然光は「太陽の光が入ってくるので気分が良い」「エネルギーを感じられる」など、人間の心理や生活リズムにも良い影響を与えてくれるでしょう。
また、室内に入ってくる自然光の量が多ければ、照明や暖房によるエネルギー消費も抑えられるため、環境や経済的なメリットも大きいです。健康住宅を設計する際は、住宅の場所や窓の向き、窓の数、光が入る導線など、自然光を意識してみてください。
健康住宅を建てることで、ストレスのない生活をはじめリラックス効果、住宅の寿命アップ、不動産としての価値向上など多くのメリットを得られます。一方で、一般住宅とは異なる素材や工法を使うことが多いため建築コストが膨らみやすいのが難点。
せっかく健康住宅を建てたのに、周囲の騒音や排気ガスによるストレスが溜まってしまった、という事例もあります。最適な土地を見つけたうえで建築会社をリサーチし、予算、目的に合った健康住宅を建てましょう。
なお、健康住宅を建てるのにおすすめの素材として「レンガ」があります。高い耐久性や断熱性、気密性によってメンテナンス費や光熱費などトータルコストを削減可能。一般的なハウスメーカーと変わらない建築費で、寿命が3倍の家づくりを実現できます。
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