日本は、いつ・どこの地域で地震が起こるかわからない地震大国です。家を建てる際も「地震が起こるリスク」を考慮しなければなりません。近年では、100年に1度の巨大地震がいつ起きてもおかしくないとされており、家を建てる際に耐震性を重視している方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、「地震に強い家」について詳しく解説します。地震に強い家の特徴や、地震に強い家づくりをするポイントをお伝えします。
さっそく本題である、地震に強い家の特徴を見ていきましょう。耐震性は家の形や構造、地盤など多くの要素が関係します。具体的な特徴は次のとおりです。
住宅の耐震性を見るうえで、まず重要になるのが「家の形」です。正方形や長方形といった「四角形」の住宅の方が地震に強いとされています。なぜなら、家を囲んでいる6つの面のバランスが良いからです。
6面すべてでバランスを保ち、均一な力で家全体を支えてくれるため耐震性が高くなります。同じ四角形の中でも、「正方形」に近くなるほど、地震に対する強度は高いです。
それとは反対に複雑な形状の家は、四角形の家と比べて地震に弱くなります。たとえば、上から見たときに「コの字型」や「L字型」になっていたり、壁に凹凸が多かったりする場合は、耐震性に不安が残ります。
もちろん、どのような住宅も建築基準法に則って建てられるため、家が崩壊しやすいといった意味ではなく、「四角形と比べるとやや弱い」といったイメージです。より地震に強い家を建てたいなら、正方形に近い形にすべきといえます。
地震に強い家は「構造」もしっかりと作られています。構造は「耐震構造」「制震構造」「免震構造」の3つに分類でき、それぞれ次のような特徴があります。
耐震構造とは、建物自体を強固にする構造です。具体例として、柱や梁、壁、床など住宅の基礎となる部分を頑丈に固定するといった方法があげられます。制震構造や免震構造と比べて安価で済むため、多くの住宅で採用されている構造です。
制震構造とは、建物の揺れを吸収・軽減するための構造です。たとえば、壁の内側に「ダンパー」と呼ばれる振動軽減装置を設置し、地震の揺れを抑えます。
揺れそのものの抑制によって実際の地震よりも揺れが弱く感じられるため、安心して過ごせるでしょう。低層マンションで採用されることが多いですが、最近では戸建でも採用するケースが増えました。
免震構造とは、建物と土地(地盤)のあいだに装置を取り付けることで、地震の揺れに耐えられるようにする構造です。制震構造で用いられる「ダンパー」と、建物をその場でゆっくり移動させる「アイソレータ」が用いられます。地盤が強く揺れた場合でも揺れを吸収できるため、耐震構造や制震構造よりも安全性が高いです。
耐震等級の高さも、地震への強さを知るために重要な指標といえます。耐震等級とは、地震に対して建物がどのくらい耐えられるかを表す指標です。
建物が倒壊・損傷しにくいかどうか、などを基準に、1・2・3の3つの等級に分類されています。耐震等級は「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいて評価されており、1~3の等級のうち数字が大きいほど耐震性が高いのが特徴です。
耐震等級1は、安全性の最低ラインであり、建築基準法によって義務付けられています。具体的には、数百年に一度程度で起こる大地震(おおよそ震度6強〜7レベル)でも倒壊しない、稀に発生する地震(震度5強レベル)でも損傷しない、などが基準です。耐震等級1の建物では倒壊や大きな損傷は防げるものの建物のダメージが大きいため、その後大規模な修繕や住み替えが必要になるケースがあります。
耐震等級2は、耐震等級1と比べて1.25倍の耐震性をもつ建物をいいます。耐震等級1の「数百年に一度程度で起こる大地震」「稀に発生する地震」、これらの1.25倍の地震が起こっても倒壊・損傷しない、が基準です。避難所として指定される学校といった公共施設は、この耐震等級2を満たしています。
耐震等級3は、耐震等級1と比べて1.5倍の耐震性をもつ建物を指します。「数百年に一度程度で起こる大地震」「稀に発生する地震」、これらの1.5倍の地震が起こっても倒壊しない、損傷しない、が基準です。消防署や警察署といった施設は耐震等級3をもとに設計されており、この等級を満たす住宅は安全性が非常に高いといえます。
地震に強い家は、土地の「地盤」も強いです。土台となる地盤が弱いと、地震発生時に住宅が沈んだり、最悪の場合崩れたりする可能性があります。平成12年(2000年)より地盤調査が義務化されており、この調査にて土地の強さを調べます。調べた結果、地盤が弱いとわかった場合は、以下のような工事をしなければなりません。
どの工事をすべきかどうかは地盤の状態や深さによって異なります。また、地盤調査は基本的に住宅購入者の自費でおこなう必要があるため、必要予算に組み込んでおきましょう。
屋根が軽い家ほど地震にも強いとされます。屋根は建物のもっとも上部に位置するため、軽ければ軽いほど揺れは小さくなるのです。一方で屋根が重い場合、振り子と同じように先端部分の揺れ幅が大きくなります。
地震に耐えられる家にするには、定期的なメンテナンスが欠かせません。メンテナンスの種類はさまざまですが、5年や10年単位で「耐震診断」をおこない、結果に順じた補修がされている建物であれば安全といえます。たとえば、壁の増設や基礎の補修、金具の設置など。外壁のひび割れを直す工事もメンテナンスのひとつといえます。
最後に、地震に強い家を作る際のポイントや注意点をご紹介します。
木造、鉄骨、鉄筋コンクリートのどれを用いるかで住宅の耐震性や耐久性は異なります。たとえば木造の場合、木ならではの「しなやかさ」によって柔軟性に優れ、見た目以上に強度です。鉄骨や鉄筋コンクリートと比べて軽いため地震の揺れに対しても高い耐久性があります。
鉄骨や鉄筋コンクリートは素材そのものの強度が高いです。鉄骨は工場で大量生産された鋼材を用いるため強固で性能も安定しやすいのが特徴といえます。
鉄筋コンクリートは、鉄筋ならではの「引っ張る力」と「コンクリートの強度」を掛け合わせることで、耐久性・耐震性を実現できます。それぞれの強みや弱みを理解したうえで素材や工法を選択することが大切です。
地震対策と聞くと、外壁や外観など建物の「外側」をいかに強くするかをイメージすることが多いかもしれませんが、実は建物の「内側」も重要です。具体的には住宅の間取りを意識しましょう。たとえば、間取りをできるだけ正方形に近づける、部屋数を多くするなど工夫することで、揺れのエネルギーを分散できます。ビルトインガレージや吹き抜けを設置したい場合も、建物の耐震性に悪影響を与える可能性があるため、設置する際はハウスメーカーや建築会社と相談しましょう。
耐震性においては、家を増改築する場合も注意が必要です。たとえば、増改築によって「L字型」や「コの字型」などバランスの悪い形状になると、境目から建物が壊れる可能性があります。平屋だった住宅を2階建てにする場合も、地震の揺れに弱くなる可能性があるため注意が必要です。
耐震性を考えるうえでは、窓の数や大きさにも注意が必要です。具体的には「窓の数が多い」「窓のサイズが大きい」といった場合、大きな地震が起きたときに不安が残ります。
これは窓自体が割れるリスクはもちろん、窓が多い・大きいことで壁の面積が小さくなり、地震を支える面積が少なくなるためです。住宅のデザイン性を意識して大きな窓を設置することもありますが、耐震性という観点ではおすすめできません。
予算内で耐震性の高い家を建てるためには、ハウスメーカーや建築会社選びが重要です。建築会社によって特色や強みは異なり、耐震性を高めるための工法や使用する素材も異なります。公式ホームページで実績を確認したり、担当者に直接聞いたりして、最終的に予算と目的を叶えてくれる建築会社を選ぶことが大切です。
地震に強い家の特徴は、住宅が正方形に近い、耐震・制震・免震の構造がしっかりしている、土地の地盤が強いなどさまざまです。耐震性を考える際は、信頼できるハウスメーカーや建築会社を選ぶことはもちろん、ご自身で「素材の強みや弱み」「住宅の間取り」「窓の数や大きさ」なども意識してみてください。
なお、住宅の耐震性アップが期待できる素材に「レンガ」があります。ご興味のある方は、耐震性やデザイン性に富んだレンガ住宅を手がけている「せらら工房」もご検討ください。
一般的なハウスメーカーと変わらない建築費で、寿命が3倍の家づくりを実現。高い耐久性や断熱性、気密性によってメンテナンス費や光熱費などトータルコストを抑えられます。リフォームやリノベーションにも広く対応しています。