「今の家に長く住めるよう改良したい」「中古住宅を自分仕様に変身させたい」など、既存住宅の住み心地を改善しようとした場合、リノベーションやリフォームが選択肢に挙がることが多いですよね。しかし、それぞれの言葉はしばしば混同されやすいので、理想の住まいを手に入れるには、何が違うかをしっかり理解し、適切な方法を選ぶことが欠かせません。
この記事では、リノベーションとリフォームの違いについて、費用やメリット・デメリットなども含めて、詳しく確認していきます。
これからリノベーションやリフォームを検討している方は、ぜひ参考になさってください。
リフォームとは、老朽化などで損なわれた家の機能や設備を、新築時に近い状態に戻すための工事を意味します。
たとえば、剥がれた壁紙や床材を張り替えたり、壊れたキッチンやお風呂を交換したりする工事が代表的なリフォームとして挙げられます。
リフォームは「マイナスをゼロにする」イメージで、築年数が経過した結果、劣化が目立つようになった物件でおこなわれることが多いです。
リノベーションとは、既存の住空間に大きく手を加え、より良い住み心地を実現させるための工事を意味します。
主なリノベーションの例としては、壁を取り払って広いリビングにしたり、キッチンや浴室の位置を移動して間取りを変更したりする工事が挙げられます。また、壁や床の断熱材を変えたり追加したりすることで、家全体の快適性を向上させることも、リノベーションに含まれることが多いです。
リフォームが「マイナスをゼロにする」イメージだったのに対し、リノベーションは「プラスをさらにプラスにする」イメージになります。
それぞれの具体的な違いについては、次の見出しで詳しく確認していきましょう。
リノベーションとリフォームの具体的な違いは、主に以下の4点にあります。
リノベーションとリフォームは似た意味で使われることが多いですが、目的に合った工事を実現させるためにも、それぞれの違いをしっかり理解しておくことが大切です。
それぞれの違いついて、以下で詳細を確認していきましょう。
リノベーションとリフォームは、工事をおこなう目的に違いがあります。
リノベーションは、現在よりも住み心地や利便性を大きく高めることを目的に工事がおこなわれます。一方で、リフォームは老朽化などによって損なわれた住み心地を原状回復することが目的になります。
たとえば、床材を今のものよりグレードの高いものに張り替える場合は、リノベーションに相当します。そして、古くなって劣化した床材を新しいものに交換する場合は、リフォームに相当します。
仮に工事の内容自体がほぼ同じでも、それが何を目的にしているかによって、リノベーションなのかリフォームなのか、呼び方に違いが出ることが多いです。
リノベーションとリフォームは、工事の規模や期間にも違いがあります。
リノベーションは、家全体を対象とした大規模な工事であることが多く、その分、工事期間も長くなりやすい傾向にあります。たとえば、建物の骨組みだけを残して全面的に改装する場合は、数ヶ月以上の期間を要することもあります。
一方リフォームは、リノベーションに比べて小規模な工事であることが多く、期間も短く済むことが多いです。たとえば、キッチンや浴室の一部交換、壁紙の張り替えなど、家の一部分だけを手直しする工事の場合、即日で作業が終わることもあります。
なお、大がかりなリフォームのことをフルリフォーム（家全体のリフォーム）やスケルトンリフォーム（壁などを取り払うリフォーム）と呼ぶことがあります。これらの大がかりなリフォームでは、リノベーションと遜色ない程度の規模・期間になるため、それぞれの違いが曖昧になることもあります。
リノベーションとリフォームは、間取り設計の自由度にも違いがあります。
リノベーションは、間取り設計の自由度が非常に高いのが特徴です。たとえば、間仕切りを撤去してリビングを広くしたり、部屋を分割して新たに子ども部屋を作ったりと、住まいの機能やデザインを可能な限り一新することができます。
一方でリフォームでは、基本的には現状の間取りを大きく変えることなく、劣化した部分を修復する形で工事がおこなわれるので、間取り設計の自由度は高くありません。
そのため、間取りから大きく手を加えたいならリノベーションを、間取りは維持して劣化修復をしたいならリフォームと、目的に合わせて選ぶことが大切です。
費用面でも、リフォームとリノベーションには違いがあります。
一般的に、リノベーションはリフォームよりも工事が大規模であることが多いため、費用も高くなる傾向があります。
たとえば、骨組みだけを残して全面的に改装する場合だと、数百万円から数千万円の費用がかかることもあります。一方リフォームでは、工事が小規模であれば数万円から数十万円で済む場合もあり、予算を抑えやすいといえます。
ただし、工事箇所が多い場合は、リフォームでも費用が高くなることもあります。そのため、工事の種類や目的に応じて、リノベーションとリフォームのどちらが適しているかを見極めることが大切です。
リノベーションかリフォームかを選択する際は、メリットの違いを理解しておくことも重要です。
ここでは、特に重要なリノベーションの3つのメリットについて、リフォームと比較しながら詳細を確認していきましょう。
リノベーションは、中古物件を購入する場合に、物件の選択肢が広がる点が大きなメリットです。
大規模な修繕工事によって、住み心地を大きくアップデートできるため、築年数の経った物件や老朽化している物件も候補にでき、立地や広さ重視で物件を探せます。
一方リフォームの場合、部分的な修復が前提となるので、築古物件だと住み心地を改善し切れないことが多く、物件の選択肢が限定的になる傾向にあります。
リノベーションは、住む人のライフスタイルや好みに合わせて、空間をオーダーメイドに設計できる点も大きなメリットです。
たとえば、家族構成の変化に合わせて部屋の数を増減したり、趣味や仕事に適した専用スペースを設けたりなどの設計ができます。
一方リフォームでは、基本的に既存の間取りを大きく変えることは難しいため、自由度はリノベーションほど高くありません。
リノベーションとリフォームに共通するメリットとして、新築より費用が安くなりやすい点が挙げられます。
特に、中古物件を購入してリノベーションやリフォームを施す場合、物件購入費用と工事費用を合わせても、新築物件の購入費用より低額になるケースが多いです。
そのため、これから家づくりをするにあたって費用を安く抑えたい場合は、新築だけでなく中古物件のリノベーション・リフォームも視野に入れると良いでしょう。
ここでは、リフォームの場合と比較しながら、リノベーションのデメリット3点について詳しく確認していきましょう。
リノベーションは、リフォームに比べて工事規模が大きくなるため、費用が高くなりやすい点に注意しましょう。特に、間取りの変更や設備の移動、断熱材の追加など、家全体に手を加える場合は、数百万円から数千万円の費用がかかることもあります。
費用を抑えるには、複数業者から相見積もりを取ることが効果的です。3社程度に話を聞き、費用と工事内容を比較したうえで、信頼できる業者に依頼しましょう。
リノベーションは、住みながらの工事が難しく、仮住まいが必要になるケースが多いことを理解しておきましょう。
仮住まいをする場合、引っ越し費用や家賃などが発生するので、それらも踏まえて資金計画を立てることが大切です。
一方、小規模のリフォームでは、住みながら工事を進められ、仮住まいが不要なこともあります。しかし、フルリフォーム・スケルトンリフォームなど大がかりな工事の場合は、仮住まいが必要になることもあるので注意しましょう。
リノベーションやリフォームは、ローンの金利が高くなりやすい点にも注意しましょう。
一般的な住宅ローンは、家を新築することを対象にしているため、リノベーションやリフォームではローンが組めないことが多いです。そのようなときはリフォームローンを組むことになりますが、住宅ローンよりは金利が高くなる傾向にあります。
ただ、自治体によってはリフォーム減税や補助金制度が使えることもあり、それらを利用すれば実質的な費用負担を軽減することも可能です。詳細は各自治体で異なるので、ホームページなどで詳細を確認してみましょう。
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今回は、リノベーションとリフォームの違いについて、費用やメリット・デメリットも含め、詳しく確認してきました。
リノベーションは住み心地をプラスにする点、リノベーションは老朽化などでマイナスになった住み心地をゼロに戻す点に、主な違いがあります。しかし、実際には工事規模や間取り設計の自由度、費用などにも違いがあるので、ニーズに合った選択をすることが大切です。
今回ご紹介したことを参考にして、ご自身に合った方法を選んで、理想の住まいを実現させましょう。
