工務店・ハウスメーカーのホームページなどを見ていると、「ZEHに対応しています」「ZEHなら省エネでお得」など、ZEH住宅を勧める内容が書かれていることが多いですよね。
しかし、ZEH住宅とはどのような住宅なのか、どんな基準を満たせば良いのかなど、具体的なイメージが湧かないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ZEH住宅の定義や具体的な基準、メリット・デメリットなどについて、詳しく解説します。
これから住宅を建てようか検討している方は、ぜひ参考になさってください。
ZEH住宅とは、年間の一次エネルギー消費量の収支を、ゼロもしくはマイナスにできる住宅のことです。
※ここで説明する一次エネルギー消費量とは、住宅で消費される電力やガスなどを熱換算したものを意味します。
ZEH住宅では、屋根や壁などを高断熱化したり、省エネ設備を導入したりすることで、エネルギー消費を最小限に抑えます。また、太陽光発電などでエネルギーを創り出す(創エネ)ことで、消費したエネルギーの相殺を目指すのです。
国内におけるZEH住宅の普及を促進するため、国土交通省では、すべての新築住宅でZEH基準を義務化する方針を発表しています。
具体的には、2025年以降は省エネ基準適合が最低ライン、2030年からはZEH基準適合が最低ラインと、段階的に引き上げられる予定です。
ZEH基準を満たすことで、住宅のエネルギー効率が高められるのはもちろん、資産価値を高めることにも繋がります。そのため、これから新しく家を建てる場合は、ZEH基準を意識した家づくりをすることをおすすめします。
ZEH住宅には、具体的に以下4つの基準が設けられています。
各基準の詳細について、順に確認していきましょう。
ZEH住宅では、断熱性能を高めることが求められ、独自の強化外皮基準が設けられています。
外皮とは、住宅の屋根や壁、床などといった、外部と内部を隔てる部分のことです。これらに十分な断熱性能を持たせることで、外気の影響を受けにくくなり、住宅のエネルギー効率が高まります。
特に近年は、断熱等級が「次世代省エネ基準」に基づいて引き上げられており、ZEH住宅では最上級の断熱等級が求められます。
ZEH住宅では、UA値を規定値以下にすることも基準の1つになっています。
UA値は「外皮平均熱貫流率」のことで、住宅内部の熱が外にどれだけ逃げるかを示します。UA値は数値が低いほど断熱性能が高いことを意味し、地域ごとに基準値が定められています。たとえば東北などの寒冷地では、より高い断熱性能が必要とされるため、東京などよりも低いUA値が求められます(北海道だと0.46以下)。
地域ごとにUA値の基準が異なるので、これから家づくりをする際は、該当地域のUA値を事前に把握しておくことが大切です。
ZEH住宅の基準には、再生可能エネルギー設備の導入も含まれています。
再生可能エネルギーとは、自然界に存在し、繰り返し利用できるエネルギーのことです。ZEH住宅では、主に太陽光発電や蓄電池などの設備を導入し、電力を創出・蓄電することを目指します。
再生可能エネルギー設備を導入すれば、家庭で使ったエネルギーを、創出したエネルギーで相殺することで、エネルギー収支を限りなくゼロに近づけられます。また、災害時の非常用電源としても利用可能なので、万一の際の備えとしても役立ちます。
ZEH住宅では、一次エネルギー消費量を削減することも重要な基準の1つです。
まず、創出した再生可能エネルギーを除いた状態で、基準消費量から20%以上の削減が求められます。続いて、再生可能エネルギーを含めた状態で、基準消費量から100%以上の削減が必要です。
建物自体の省エネ性能の高さと、高効率な創エネの両方が備わって初めて、ZEH住宅として認定されます。
ひとくくりにZEH住宅といっても、省エネ性能の違いに応じて、以下のように分けられています。
それぞれの基準の違いについて、以下で順に確認していきましょう。
ZEHは、最もスタンダードなZEH住宅の仕様です。
繰り返しになりますが、再生可能エネルギーなしで基準消費量から20%以上、再生可能エネルギーありで100%以上の一次エネルギー削減が基準となります。
ZEH+は、スタンダードなZEHよりも省エネルギー性能を強化したZEH住宅です。
ZEH+では、ZEHの基準に加え、再生可能エネルギーなしでの25%以上の一次エネルギー削減など、より高い省エネ性能が求められます。また、家庭でのエネルギー使用状況をマネジメントするHEMSの設置も必要です。
次世代ZEH+は、ZEH+の基準をさらに進化させた、最先端のZEH住宅です。特に未来の脱炭素社会(カーボンニュートラル)を見据え、エネルギー効率や環境への配慮を一段と強化しています。
基本的なエネルギー削減に関する基準はZEH+と同様ですが、それに加えて、蓄電池や燃料電池、太陽熱利用温水システムなどの設置が求められます。
Nearly ZEH(ニアリーゼッチ)は、ZEHの基準を満たすのが難しい地域を対象に、少し基準を和らげたZEH住宅です。
一次エネルギー消費量の削減率20%以上という点はZEHと同等ですが、再生可能エネルギーを含めた削減率は100%未満でも可とされています。
Nearly ZEHは、たとえば日照時間が短かったり気温が低かったりなど、地理的条件などの制約がある地域で適用されます。
ZEH Oriented(ゼッチオリエンテッド)は、再生可能エネルギー設備を設置しなくても基準を満たせるZEH住宅です。
外皮性能、および一次エネルギー消費量の基準値20%以上の削減という点はZEHと同じですが、再生可能エネルギーを含めた削減率が設定されていません。
ZEH Orientedは、主に集合住宅や都市部の狭小住宅など、再生可能エネルギー設備の設置が物理的に難しい場合に適用されます。
ZEH住宅には、多くのメリットがあると同時に、注意すべきデメリットもあります。そのため、これからZEH住宅を建てる際は、メリット・デメリットの双方を理解し、後悔のない選択をすることが大切です。
ここでは、ZEH住宅のメリットとデメリットそれぞれについて、詳細を確認していきましょう。
ZEH住宅の主なメリットは、以下の4点です。
ZEH住宅は、断熱性能が非常に高いため、夏は涼しく冬は暖かい快適な住環境が実現します。
また、温度変化が少ないことで健康リスクも軽減され、部屋間の寒暖差によるヒートショックなども予防できるでしょう。
ZEH住宅では、高い断熱性と省エネ設備、さらに太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用することで、電気代やガス代といった光熱費を大幅に削減できます。
もちろん、設備の導入には相応のコストがかかりますが、ランニングコストが削減されることで、長期的に見るとリーズナブルになる可能性が高いです。
それに加えて、ZEH住宅では太陽光発電や蓄電池などの恩恵で、非常時に電力を確保できるのも大きなメリットです。
特に、食料保存に欠かせない冷蔵庫や、スマートフォンなどの通信機器の充電が可能になるため、防災対策としても優れています。
そして、ZEH住宅を建てる場合、国や自治体からの補助金制度を活用できる可能性があります。これにより、家づくりにおける初期費用の負担を軽減し、他のことに予算をまわすことも可能です。
また、ZEH基準を満たすことで、住宅ローン控除や固定資産税の軽減措置が受けられる場合もあります。
ZEH住宅を建てる際は、以下4つのデメリットに注意が必要です。
まず、ZEH住宅は一般的な住宅に比べて、建設費用が高額になるケースが多いです。
高性能な断熱材や省エネ設備、再生可能エネルギー設備の導入が必須となるため、初期投資が通常の住宅に比べて数百万円単位で高くなることがあります。
続いて、ZEH住宅では断熱性能を高めるため、大きな窓を設置できなかったり、間取りを自由に決められなかったりすることが考えられます。
また、太陽光発電パネルの設置場所を確保する必要があるため、屋根の形状や配置に自由度が制限されることもあります。
ZEH住宅に設置した再生可能エネルギー設備や高性能な省エネ機器は、定期的なメンテナンスが必要です。
特に太陽光パネルや蓄電池は経年で劣化するので、10〜20年程度で交換が必要になる場合があります。
そして、ZEH住宅の太陽光発電は、天候の影響を受けやすい点にも注意が必要です。
日照時間が少ない地域や、長期間の悪天候が続く場合には、発電量が不足し、光熱費の削減効果が十分に発揮されないことがあります。
ただし、以上挙げたデメリットは、補助金制度を賢く使ったり、実績の豊富なハウスメーカーに依頼したりすることで、払拭可能なものが多いです。
後悔のない家づくりを実現するためにも、事前に下調べをしたうえで、信頼できるハウスメーカーに施工を依頼するようにしましょう。
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今回は、ZEH住宅とは何かについて、具体的な基準やメリット・デメリットを詳しく確認してきました。
ZEH住宅とは、高い断熱性能や太陽光発電などにより、年間の一次エネルギー収支をゼロもしくはマイナスにすることを目指す、省エネ住宅です。
ZEH住宅は、最低限の冷暖房で年中快適に過ごせるなど多くのメリットがありますが、間取りが制限されるなどのデメリットに注意が求められます。そのため、ZEH住宅を建てる際は、実績が豊富で確かな技術力のある、信頼できるハウスメーカーに依頼することをおすすめします。
今回ご紹介したことを参考にして、快適なマイホームを実現させましょう。