多くの人にとって、マイホームは一生に一度の大きな買い物です。せっかく建てるなら、世代を超えて住み継げるような「長持ちする家」を実現したいと思う方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、「100年住める家」を叶えるための設計ポイントや、工務店選びのコツについてもご紹介します。
長く安心して暮らせる家に共通する特徴なども解説しますので、長持ちする家を実現したい方は、ぜひ参考にしてください。
日本では、住宅が「消耗品」として扱われる傾向があり、築30年を超えると建て替えを検討する家庭も少なくありません。
その背景には、住宅に対する価値観や気候的リスク、社会制度など、さまざまな要因が関係しています。
日本の住宅は、平均して30年ほどで建て替えられるケースが多いといわれています。一方、欧米諸国では、100年以上住み継がれる家も珍しくなく、住宅の寿命に対する考え方に大きな違いがあります。
欧米では、建物が年数を経ても手入れやリフォームによって価値を保ち続けることが可能とされ、住宅市場でも評価されます。
これに対し日本では、土地の価値は保たれても、建物は築年数が経つにつれ価値が急激に下がり、30年もすればほとんどゼロ評価となるケースが一般的です。
こうした市場構造が、「長持ちする家」よりも「新しく建て替える家」を選ぶ風潮を生んでしまい、結果的に住宅の寿命が短くなっているのです。
日本では、地震大国ならではの気候的リスクや高温多湿な環境が、住宅の劣化を早める原因となっています。
特に、地震に対する建築基準の改正が繰り返される中で、「古い家は危険」「新しい家の方が安心」という意識が根強く残っており、それが建て替え需要を後押ししてきました。
また、日本には「新築信仰」と呼ばれる文化的傾向があり、新しい家こそが価値あるものという認識が定着しています。
近年、日本政府もようやく「長持ちする家」への転換を重視するようになってきました。
住宅のストック活用や長寿命化を促進する政策が進められており、「住宅は壊して建て直すもの」から「住み継いでいくもの」へと意識の変化が求められています。
たとえば、「長期優良住宅」の制度や、性能向上リフォームへの支援制度などが代表的です。これにより、住宅そのものの資産価値を長く維持し、「長持ちする家」を社会全体で評価する土壌が徐々に整いつつあります。
参考:国土交通省ホームページ「長持ち住宅の手引き」
長期優良住宅について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
>>長期優良住宅とは?条件やメリット・デメリット、家づくりのポイントを解説
ここでは、長持ちする家を実現するため、特に押さえておきたい5つの特徴をご紹介します。
日本は地震大国であり、長持ちする家を考えるうえで耐震性は欠かせない要素です。
そのため、構造そのものが揺れに強い設計になっているかどうか、耐震等級はどのレベルかといった点を確認することが求められます。
耐震性の高い家は、地震による損傷が少なく、結果として建て替えや大規模な修繕の必要が減り、長寿命化につながります。
長持ちする家を建てるうえで、使用される構造材や仕上げ材の耐久性も非常に重要です。
たとえば、劣化しにくい木材、錆びにくい金属、紫外線に強いレンガなどの外壁素材を適材適所に選ぶことで、経年劣化を最小限に抑えられます。
また、基礎や土台といった構造の要となる部分に、防腐処理や通気工法などを採用することも、家全体の耐久性を高めるうえで効果的です。
日本の気候は湿度が高く、特に梅雨や台風の時期には家の内部に湿気がこもりやすくなります。これがカビや腐朽菌の原因となり、住宅の劣化を加速させることも少なくありません。
そのため、長持ちする家を目指すうえでは、しっかりとした防水処理と湿気対策が欠かせません。
外壁や屋根の防水性能はもちろん、基礎部分の湿気対策、断熱材の選定、結露を防ぐ換気システムなどを丁寧に設計することが大切です。
長持ちする家を維持するためには、定期的なメンテナンスがしやすい設計であることも重要です。
たとえば、床下や天井裏に点検口が設けられ、配管や電気設備が後から交換しやすい位置に施工されていると、トラブル時の対応が迅速かつ低コストで済みます。
また、外壁や屋根においても、メンテナンス性を考慮した仕様にすることで、長期的な維持管理がしやすくなります。
長持ちする家には、ライフスタイルや家族構成の変化に対応できる柔軟性も必要です。将来的に間取りを変更したり、バリアフリー対応にリフォームしたりする可能性を考慮しておくことで、住み替えや建て替えの必要性を抑えられます。
たとえば、空間にゆとりのある設計、構造壁と非構造壁のバランスがとれた間取りなどは、可変性の高い家づくりに適しています。こうした設計の工夫により、長期間にわたって快適に住み続けられる長持ちする家が実現します。
ここでは、長持ちして100年住み続けられる住まいを実現するための設計ポイントを、5つ厳選してご紹介します。
屋根や外壁は、日々強い紫外線や風雨にさらされるため、家の寿命を左右する重要な部分です。
紫外線による劣化を抑えるためには、色あせしにくく耐候性の高い仕上げ材を選ぶ必要があります。また、雨水が溜まりにくい屋根形状や、適切な軒の出、通気層のある外壁構造などは、雨漏りや湿気の侵入を防ぎ、長持ちする家づくりに大きく貢献します。
結露はカビや腐食の原因となり、住宅の寿命を縮める大きな要因になります。断熱性と気密性が高い住宅は、室内の温度差を抑え、結露の発生を防ぐ効果があります。
高性能な断熱材を適切に施工し、隙間の少ない気密性の高い構造を採用することで、室内環境を快適に保ちつつ、建物の耐久性を高めることが可能です。
長持ちする家づくりでは、定期メンテナンスのしやすさを意識した構造が重要です。
たとえば、天井裏や床下、配管などに点検口を設けておけば、不具合の早期発見や修繕がスムーズです。さらに、木造住宅ではシロアリ対策、鉄骨やRC造では錆や中性化など、構造ごとの劣化要因に応じた予防措置も必要です。
外壁や屋根の塗装、水まわり設備の点検など、計画的なメンテナンスと組み合わせることで、長持ちする家を実現できます。
日本で長持ちする家を実現するには、湿気対策が非常に重要です。高温多湿な気候のもとでは、適切な換気がなければ室内に湿気がこもり、カビや木材の腐食を招きます。
そこで、空気の流れを考えた間取りや、24時間換気システムの導入が効果的です。特に水まわりや北側の部屋など、湿気が溜まりやすい場所には、局所換気の仕組みを取り入れると安心できます。
水回りは住宅の中でも特に劣化しやすい部分です。配管の劣化や漏水は、放置すると構造体に深刻なダメージを与えることがあります。
そのため、長持ちする家を実現するには、水回り設備の配置や施工にも工夫が求められます。
たとえば、配管が床下や壁の中に隠れてしまわないよう、メンテナンスしやすい場所に設ける、配管の取り替えがしやすい二重構造を採用するなどの工夫が効果的です。
ここでは、長持ちする家を実現するために、ハウスメーカー選びで注目すべき3つのポイントについて、詳しく確認していきましょう。
まず確認したいのは、住宅性能に対する設計・施工上のこだわりです。長持ちする家には、高い耐震性や断熱性、劣化しにくい構造や素材の採用が欠かせません。
たとえば、耐震等級3の取得実績があるか、高性能断熱材を標準仕様としているか、耐久性のある構造材や外壁材を採用しているかなどをチェックしましょう。
その際、パンフレットや仕様書だけでなく、実際の施工事例を見て確認することも大切です。
耐震性能について、より詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
>>地震に強い家の特徴は?構造や家の形、家づくりのポイントなど解説
どんなに性能の高い家を建てても、土地の条件が悪ければ住宅の寿命にも影響します。特に、地盤の強度や水害・土砂災害のリスクをしっかり評価し、それに応じた基礎設計や地盤改良の提案ができる会社を選ぶことが重要です。
信頼できるハウスメーカーは、建物本体だけでなく、その土地に合った「長持ちする家」の建て方を熟知しています。地盤調査を実施しているか、災害リスクの説明があるかどうかも重要な確認ポイントです。
長持ちする家を維持するためには、家を建てて終わりではなく、建てた後のサポートこそが重要です。
そのため、定期点検の有無や回数、不具合が出た場合の対応スピード、保証内容の範囲などをしっかり確認しましょう。特に長期保証制度や、定期的な無料点検サービスを提供している会社は、建てた後の住まいへの責任感が強い傾向があります。
長持ちする家を本気で目指すなら、外壁材として「レンガ」を採用した住まいがおすすめです。
私たち「せらら工房」では、耐久性・デザイン性・快適性に優れたレンガの家を数多く手がけており、その品質は多くの施主様から高く評価されています。
ここでは、長持ちして100年住める家を実現するうえで、レンガの家が持つ具体的なメリットを3つご紹介します。
レンガは、土を高温で焼き固めた無機質の建材で、非常に高い耐久性を誇ります。風雨や紫外線によっても変質しにくく、ひび割れや腐食の心配もほとんどありません。
その結果、一般的な外壁材の寿命が30~50年程度であるのに対し、レンガは100年、さらには200年という単位で長持ちします。まさに「長持ちする家」にふさわしい外壁材といえるでしょう。
レンガの外壁は、基本的に塗装を必要としません。一般的な外壁材のように数年ごとの塗り替えが不要なため、メンテナンスコストが大幅に削減できます。
さらに、表面が劣化しにくいため、年数が経っても風合いが損なわれず、むしろ深みのある美しさが増していきます。
定期的な外装工事に悩まされずに済むという点でも、「長持ちする家」にぴったりの素材です。
特に、海の近くなど塩害対策が必要なエリアにおいて、レンガ外壁は最適な選択といえるでしょう。
>>海の近くに家を建てる際の注意点は?塩害・津波・カビなどの対策や土地選びについて解説
レンガは蓄熱性に優れており、夏は外の熱気を室内に伝えにくく、冬は屋内の暖かさを長時間保つ特性があります。その結果、冷暖房の使用を最小限に抑えながら、一年を通して快適な室内環境を実現できます。
快適性の高さと同時に、省エネにも貢献できるため、長持ちしつつ環境と住む人にやさしい家になります。
今回は、「長持ちする家」をテーマに、長く快適に住み続けるための設計・構造・素材のポイント、そしてハウスメーカー選びの視点まで幅広くご紹介しました。
耐震性などの基本性能を高めると同時に、点検やメンテナンスのしやすさ、将来的なリフォームへの柔軟性も考慮することで、住まいの寿命は大きく変わります。
今回の内容を参考にして、世代を超えて安心して暮らせる、理想的な「長持ちする家」を実現させましょう。