冷房の効きが悪かったり、部屋によって温度差があったりすると、せっかくの住まいでも疲れやすく、熱中症のリスクが気になるという声もよく聞かれます。特に、小さなお子さんや高齢のご家族がいるご家庭では、「もっと快適な涼しい家をつくりたい」と考える方も多いでしょう。
家づくりの工夫次第で、こうした夏の悩みをやわらげることは十分可能です。住まいのあり方を少し見直すことで、冷房に頼りすぎず、自然な涼しさを取り入れた心地よい空間を実現できます。
この記事では、夏でも快適な「涼しい家」を目指すための基本的な考え方や、住まいの「涼しさ」を支える工夫についてご紹介します。これから家づくりを考えている方は、ぜひ参考になさってください。
「涼しい家」をつくるには、単に冷房設備を整えるだけでは不十分です。外気の影響を受けにくくし、室内にこもった熱を効率よく排出できる構造が求められます。
ここでは、夏でも快適な涼しい家に共通する3つの基本要素についてご紹介します。
涼しい家を実現するうえで、最も基本となるのが「断熱性の高さ」です。
夏の強い日差しによって外壁や屋根が熱を持つと、断熱性能が低い住宅では、その熱が壁や天井を通して室内に伝わってしまいます。その結果、室温が上昇しやすくなり、エアコンの効きが悪くなるだけでなく、冷房費もかさんでしまいます。
一方、断熱性の高い家では、外からの熱の侵入を効果的にブロックできるため、室内の温度上昇を抑えられます。
断熱材の種類や厚み、施工精度によって断熱効果は大きく左右されるため、家づくりの段階で丁寧に検討することが重要です。
涼しい家の要素として、断熱性とあわせて「気密性」も欠かせません。
気密性とは、家全体の隙間の少なさを示す指標です。気密性が高いほど、外気の出入りや隙間風が起こりにくくなります。
夏の暑い空気が家の中に入り込むと、せっかく冷房で冷やした空気がすぐに逃げてしまい、なかなか涼しくなりません。また、冷房効率が下がることでエネルギー消費が増え、光熱費にも影響します。
気密性の高い住宅は、冷たい空気を外に逃がさず、一定の温度を長く保てるため、少ない冷房でも快適な涼しさを維持できます。その結果、省エネで環境にもやさしい「涼しい家」が実現できます。
断熱性や気密性が優れていても、風が通らない家では、熱や湿気がこもりやすくなってしまいます。そのため、自然の風をうまく取り入れる「通風性」も、涼しい家には欠かせない要素になります。
たとえば、南北に風が通り抜けるように窓を配置したり、吹き抜けや高窓を使って熱気を外に逃がしたりといった工夫が有効です。さらに、屋内の空気が循環しやすいような間取りにすることで、室温や湿度のムラを減らし、全体的に涼しい空間を保ちやすくなります。
自然の風を活かした通風設計は、冷房に頼らない暮らしをサポートし、健康的で心地よい「涼しい家」を実現するうえで、大きな役割を果たします。
「エアコンに頼らずに、できるだけ自然なかたちで涼しく暮らしたい」、そんな思いを叶えるには、家の設計段階から工夫を凝らすことが重要です。
夏の強い日差しや熱気を室内に取り込みすぎないようにすることで、冷房がなくても快適に過ごせる「涼しい家」を実現できます。具体的な3つの工夫ポイントについて、以下で順に確認していきましょう。
窓から差し込む直射日光は、室内の温度上昇を大きく左右します。特に南向きの窓に強い日差しが当たると、室温が一気に上がり、室内がムッとした暑さに包まれてしまいます。
そこで効果的なのが、庇や軒を深めに設ける工夫です。
夏の太陽は高度が高いため、庇が深ければ、直射日光が室内まで届くのを予防でき、涼しさを保てるようになります。反対に、冬の太陽は低い位置から差し込むため、庇があっても光を取り込みやすく、季節に応じた日射コントロールが可能です。
「涼しい家」をつくるには、風通しのよさも欠かせません。自然の風をうまく取り入れることで、こもった熱や湿気を外に逃がし、室内の空気を涼しく快適に保てます。
特に意識したいのが、南北方向に風が抜けるような窓の配置です。風の入り口と出口となる窓を対角線上に設けたり、建物の東西面にも小窓をつけたりすることで、風の通り道ができやすくなります。
また、内装においても、廊下やリビングの仕切りをオープンにしたり、引き戸など開閉しやすい建具を使ったりすると、風の流れがスムーズで涼しい空間になります。
家の中にたまった熱気は、上昇して天井付近に集まる性質があります。この性質を活かして効率よく熱を逃がすために有効なのが、吹き抜けや高窓を取り入れた空間設計です。
吹き抜けのあるリビングや階段室に高窓を設けることで、室内の高い位置に溜まった熱を外へと排出しやすくなります。さらに、風の入り口となる低い位置の窓と組み合わせれば、自然な空気の流れが生まれ、家全体の温度ムラが軽減されます。
「冷房をつけてもすぐに室温が上がってしまう」、そんな住まいでは、いくらエアコンを使っても快適とはいえません。
本当に涼しい家とは、冷房の効きがよく、少ないエネルギーで適切な室温を保てる家です。そのためには、単に冷房機器に頼るのではなく、家そのものの構造や素材に注目することが大切です。
ここでは、冷房効率の高い涼しい家を実現するためのポイントを3つご紹介します。
涼しい家を支える基盤のひとつが、しっかりとした断熱構造です。
外からの熱を遮り、内部の冷気を逃がさないためには、使用する断熱材の性能だけでなく、その施工精度が非常に重要になります。
いくら高性能な断熱材を使っても、施工時に隙間やムラがあると、そこから熱が出入りし、断熱効果が大きく低下してしまいます。反対に、正確に施工された断熱材は、外気の影響を最小限に抑え、室温の変化をゆるやかにしてくれます。
「涼しい家」を実現するうえで、断熱性とあわせて重要なのが「気密性の高さ」です。
気密性とは、建物にどれだけ隙間があるかを示す指標で、隙間が少ないほど外気の影響を受けにくくなります。
気密性の低い住宅では、冷房で冷やした空気が逃げてしまい、エアコンの効きが悪くなったり、電気代がかさんだりする原因になります。
一方、高気密な住宅では、小さな隙間までしっかりと塞がれており、冷たい空気を効率よく室内にとどめられます。その結果、冷房の効きが早くなり、室内の快適で涼しい温度を長時間保てるようになります。
家の中で、最も熱が出入りしやすい場所のひとつが「窓」です。いくら断熱材や気密性を高めても、窓の性能が低ければ、そこから熱が侵入し、涼しい空気が逃げてしまいます。
そのため、窓の断熱性と日射遮蔽の工夫は、涼しい家づくりにおいて見逃せないポイントです。
たとえば、複層ガラスやLow-Eガラスといった高性能な窓を採用すれば、外気の影響を受けにくく、室内の温度を安定させられます。また、窓の外側にブラインドやシェードを設置することで、日差しを遮り、室温の上昇を抑える効果も期待できます。
「レンガの家は見た目は素敵だけど、夏は暑そう」、そんな印象を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし実際は、レンガを使った家は夏でも暑くないどころか、断熱性・遮熱性・気密性に優れた「涼しい家」としても注目されています。
ここでは、せらら工房が手がけるレンガ積み住宅を例に、その涼しさの理由を一般的な住宅と比較しながら解説していきます。
涼しい家づくりにおいて、外からの熱をシャットアウトする断熱性は欠かせない要素です。
レンガは内部に無数の小さな空気穴を含む「多孔質素材」でできており、これらの空気層が外部の熱を吸収・緩和する働きを持っています。
その結果、真夏の強い日差しを浴びても、室内に熱が伝わるスピードが遅く、家の中の温度上昇を大きく抑えられます。
さらに、レンガは熱を「蓄える」性質もあるため、外気の温度変化に対して室内の温度を安定させやすく、冷房の効きも良好です。冬は反対に冷気を遮る効果があるため、季節を問わず快適な室温を保ちやすく、一年を通じて暮らしやすい住環境を実現できます。
レンガそのものの断熱性に加え、せらら工房では「遮熱通気工法」という独自の技術を組み合わせています。
これは、屋根や外壁の内側に遮熱シート(アルミやウレタンフォームなど)を施工し、太陽から放射される熱を反射させる工法です。
さらに、断熱層の外側に「通気層」を設けることで、空気の流れをつくり出し、熱をこもらせない仕組みになっています。
この工法により、屋根や外壁からの熱の侵入を大幅に抑え、日中でも室内温度が上がりにくい涼しい家が完成します。
せらら工房のレンガ積み住宅では、1つひとつのレンガをモルタルで丁寧に固定し、外壁全体に隙間をつくらない高い気密性を実現しています。
また、外側のレンガと内側の木造躯体の間に断熱層を設けた「二重構造」によって、さらなる気密性と断熱性が両立されています。実際、せらら工房の家は次世代省エネ基準の10倍以上の気密性能を誇っており、外の熱気を室内に入れにくい構造になっています。
隙間のない家は冷房効率も良く、一定の涼しさを長時間保てるため、夏でも快適に過ごせます。
ここでは、せらら工房が実際に手がけた、夏に涼しいレンガの家の実例を2つご紹介します。
おしゃれで涼しい家を実現したいとお考えの方は、ぜひ参考になさってください。
こちらは、横浜市泉区に建てられた、重厚感あふれる夏に涼しいレンガの家です。
断熱性の高い手積みレンガの外壁が、夏の日差しをやわらげ、室内には心地よい涼しさを届けてくれます。
吹き抜けのあるLDKや統一感のあるインテリア、水槽やテラスの工夫など、快適性とデザイン性を兼ね備えた「涼しい家」に仕上がっています。
こちらは、横浜市青葉区に建てられた、爽やかな印象で夏に涼しい白レンガの家です。
明るい色合いのレンガと石畳が調和した外観は、視覚的にも涼やかで、吹き抜けから光と風が通る心地よい空間が広がります。
自然素材や大理石を使った内装は高級感とぬくもりを両立し、断熱性にも優れた設計で、夏でも快適に過ごせる「涼しい家」となっています。
今回は、夏でも快適に過ごせる「涼しい家」をつくるための基本的な考え方や、設計・構造上の工夫、そして実際の事例についてご紹介しました。
涼しい家を実現するには、断熱性・気密性・通風性の3つをバランスよく備えていることが重要です。冷房設備に頼らなくても、外気の熱を遮り、風が抜け、室温を安定させる設計ができれば、夏の暮らしはぐっと快適になります。
さらに、せらら工房が手がけるレンガ積み住宅のように、素材そのものが涼しさを支える住まいも注目されています。断熱性に優れ、遮熱通気工法や高い気密性と組み合わせることで、見た目だけでなく機能面でも理想的な「涼しい家」が実現できるでしょう。
これから家づくりを考える方は、今回の内容を参考に、「どんな家で夏を快適に過ごしたいか」という視点から、設計や素材選びを進めてみてはいかがでしょうか。